半側空間無視に対する効果的な訓練法を検討することを目的に,メトロノームによるリズム聴覚刺激を用いていくつかの条件下で花の模写課題を施行し,その反応を分析した。実験は (1) 無視側からの聴覚刺激の効果,(2) 聴覚刺激側による違い,(3) 聴覚刺激のリズムによる効果の違いであった。結果は (1) 重症度の異なる各症例においても一定の向上を示したが,その一方で効果を示さなかった症例も存在した。(2) 無視側と反対側からのリズム聴覚刺激においても刺激なしに比べて課題は高得点であったが,無視側と反対側に固執してしまう傾向がみられ,無視側からの刺激のほうが良好であった。(3) リズム間に課題の反応に違いを示した。以上より,本研究で用いたメトロノームによるリズム聴覚刺激は半側空間無視の改善に一定の効果を示した。