時計の絵および指定された時刻を描く Clock Drawing Test (CDT) について,さまざまな実施および評価方法が提唱されている。それぞれの信頼性や妥当性などについての研究は多いが,多数の CDT 実施および評価方法を同一症例群に施行し比較した報告はない。今回われわれは,“もの忘れ”外来を受診した患者41 名 (男性11 名,女性30 名) に対して,さまざまな CDT 実施および評価方法を多く比較することにより,それらの信頼性と妥当性,そして認知症診断への役割について検討した。CDT の施行中の症例の様子と症例のプロフィールなどを知らない評価者2 名がそれぞれの CDT を採点した。 その結果,その他の神経心理学的検査と相関が高く,年齢や教育歴の影響を受けにくく,罹患期間をより評価し,また認知症の重症度や類型診断への一指標として有用な方法は,外円をあらかじめ示した CDT である可能性が示された。