失語症者7名を対象に, 構成語彙の類似性が異なる3種類のリストを用いて呼称課題を施行した。その各種類における課題の正答率, 誤反応の出現について分析した。その3種類のリストは呼称課題の目標語となる絵カードを無作為に抽出した「無作為リスト」, 意味的・音韻的に類似した語を選択的に抽出した「同範疇リスト」, 「同語頭音リスト」である。結果は同範疇リスト, 同語頭音リストともに, 無作為リストより正答率が低く, 誤反応では保続出現率が高かった。さらに他の誤反応出現率では, 無作為リストに比べて同範疇リストにおいて有意に意味性錯語が高く, 無関連性錯語が低かった。また無作為リストと比べて同語頭音リストにおいて有意に音韻性錯語, 無関連性錯語, 新造語が低く, 迂言が高かった。以上より, 呼称課題系列における構成語彙間の類似性を変化させることにより正答率と誤反応の出現率に影響を与えることが示唆された。