加熱チャンバ内に高圧下で加熱した水を噴霧することにより, 高温の微細水滴を含んだ過熱水蒸気雰囲気 (アクアガス) を発生させ食品加工を行うシステムを開発した.115℃においてアクアガスならびに過熱水蒸気の熱伝達率測定を比較した結果, 熱伝達面の温度が低い場合はアクアガスの熱伝達率が, 熱伝達面が高い場合は過熱水蒸気の熱伝達率が高いことが確認され, アクアガスの熱伝達特性に微細水滴の存在が影響を及ぼしていることが示された.アクアガス, 過熱水蒸気ならびに高温空気の熱伝達率を熱伝達面の温度を変化させながら測定した結果, それぞれの加熱媒体に特徴的な熱伝達率の熱伝達面温度依存性が確認された.またそれぞれの加熱媒体を用いた食品モデル試料の加熱時における質量変化を測定したところ, アクアガスならびに過熱水蒸気を用いた実験において, 加熱初期に試料表面への水分凝縮による質量増加が認められ, 試料の温度が上昇した後の乾燥過程においてはアクアガスに試料の乾燥抑制効果が確認された.更に高速度カメラでアクアガスの撮影を行った結果, 雰囲気中に分散する微細水滴が確認され, アクアガスの熱伝達特性ならびに乾燥特性は微細水滴の存在に影響を受けていることが裏付けられた.