ジャガイモ塊茎より精製した澱粉枝つくり酵素(SBE)をアミロースに作用させ,得られた産物の構造を蛍光標識/HPSEC法により調べた.なお,ここでは生成の可能性が考えられた環状分子(Fig.2)については考慮せずにデータを解析した.SBE産物(Fig.4)はモル比でそれぞれ65と35%の分岐分子と直鎖分子の混合物であった.SBE産物の重合度(DP)分布はDP1190,30,および7と6にピークを示し,主として3成分が認められ(Fig.3),これらの成分はそれぞれ分岐分子,分岐分子と直鎖分子,直鎖分子であると考えられた.SBE産物の鎖長分布には,ほぼDP6の周期性,すなわちDP6,11,18,29にピークが認められた(Fig.1B).このことから,基質のヘリックス構造がSBEによる触媒反応における単位構造である可能性が示唆された.C鎖のDPの分布はアミロペクチンのそれとは全く異なっており,DP約30から50の狭い範囲に分布していた(Fig.5).