嫌気性好熱菌Thermoanaerobium brockii ATCC35047の菌体抽出液をトレハロースに作用させたところ,非還元性三糖の生成が認められた.本糖質を単離・精製し,部分酸加水分解,メチル化分析,13C-NMR分析により構造解析した結果,2-O-α-D-glucopyranosyl-α-D-glucopyranosyl α一D-glucopyranoside (セラギノース)であることが分かった.菌体抽出液からDEAE-Toyopearlカラムクロマトグラフィーにより,セラギノースの生成に関与する2種類の酵素の部分精製標品を得た.一つは既知酵素,トレハロースホスホリラーゼで,もう一つは,β 一グルコース1リン酸(β-GIP)とグルコースとからコージビオースを生成する活性を有する新規ホスホリラーゼであると考えられた.セラギノースはこれら2種類のホスホリラーゼの共同的作用によりトレハロースからβ一GIPを介して生成すると推定された.