前報(Ookushi et al.: J. Appl. Glycosci ., 55 , 225-229 (2008))に引き続いて抽出方法を検討した結果,ヤマブシタケ子実体に含まれるglucanの92.7%を抽出することに成功した.その内訳は,42.3%がアルカリ抽出,17.7%が酵素処理-マイクロ波照射,10.7%が再度アルカリ抽出によって抽出された(Table 1).残りの22.0%はマイクロ波加熱熱水抽出により抽出される水可溶(1→3;l→6)-β- D -glucanである(Ookushi et al.: J. Appl. Glycosci ., 53 , 267-272 (2006)).熱水抽出残渣に含まれるglucanの構造をメチル化分析により解析した結果,全て(1→3;1→6)-β- D -glucanに属し,次の三つの異なった存在形態を有していることが明らかとなった.(1)水素結合により強いネットワークを形成している(1→3)結合に富んだタイプ,(2)タンパク質・キチンと複合体を形成している(1→6)結合に富んだタイプ,および(3)タンパク質・キチンと複合体を形成している(1→3)結合に富んだタイプであった.