米 ( Oryza sativa L.) の品種は,食味,加工適性,価格等に影響するので,その判別技術の開発が必要とされている.筆者らは,米粒から鋳型DNAを抽出・精製する方法および適正なSTSプライマーを開発することにより,PCR法による米のDNA品種判別を可能にした.マルチプレックスプライマーセットは各国の広範な米の効率的な判別に有用であることを示し,2種類のコシヒカリ判別用セットを開発した.また,米飯等の米加工品からのPCR用鋳型DNAの抽出・精製用に,耐熱性α-アミラーゼによる80°C処理,次にSDS共存下でのプロテイナーゼK処理とPCI精製処理を行う「酵素法」を開発した.これにより,米飯1粒や餅などを試料とする原料米のDNA品種判別が可能になった.