Lactobacillus fermentum TDS030603株の生産する中性多糖を,培養上清から精製し,単糖組成分析,メチル化分析および1H-NMRで構造解析した.チーズホエーを原料とする培地ならびにMRS培地で培養した場合の,同菌株による多糖生産の至適条件を検討した.多糖は1 : 2.5の割合で単糖として D -ガラクトースと D -グルコースを含み,おのおの2単位ずつのα-,ならびにβ-アノマーからなる4糖繰り返し単位をもったメジャー成分とマイナー成分を含むことが示された.メジャー成分は,非還元末端グルコピラノース,3位置換グルコピラノース,6位置換ガラクトピラノースおよび2位,3位置換グルコピラノースから成る一方,マイナー成分は,非還元末端ガラクトピラノース,3位置換グルコピラノース,6位置換ガラクトピラノースおよび2位,3位置換グルコピラノースから成ることが示された.これは以前報告されている Lactobacillus fermentum の別の株の生産する多糖とは異なり,新規の多糖である.同多糖は培養物の粘性の付与に利用することが期待される.