軟質小麦穀粒を酒米搗精機で段階的に削り製粉し,8分画の分級小麦粉を得た。分級粉で調製したドウやパンのグルテンはいくつかの外皮成分により切断され,製パンには不十分な形態であった。分級粉の水溶性ペントサン(WSP)は主鎖成分であるキシロースを通常粉(N61)や市販粉(ヘルメス)より有意に多く含み,一方不溶性ペントサン(WISP)中にはキシロース量は少なかった。中心部(30-0%)の分級粉から得られたWSPをヘルメスに添加すると,N61由来のWSPよりドウの物性と製パン性を有意に改善した。分級粉の製パン改善効果は,そのWSPの性質,すなわち含有量の高さ,アラビノースに対するキシロースの高い比率,多量のフェルラ酸,ならびに優れた泡沫安定性に起因すると考えられた。