超高圧処理は, 食品産業における新しい技術であり, 米飯にも応用されている. 日本では通常, 炊飯前に浸漬を行う. 浸漬もまた炊飯米の性状に影響を及ぼす一要因である. 夜に洗米・浸漬を行い, 翌朝に炊飯を開始するということもしばしば行われる. 本報告では, 25℃あるいは55℃で30分間の予備浸漬を行い, その後400MPaで10分間の超高圧 (HP) 処理を行った後で一晩の浸漬を続け, 予備浸漬温度とHP処理の有無が米に与える物理的, 化学的影響を調べた. その結果, 糊化特性では, 浸漬操作により最高粘度が増加し, 食味が向上する可能性が示唆された. また, HP処理により, 糖含量の増加が認められ, また炊飯米粒内部の構造の変化も認められた. また, 炊飯米の糊化度が増し, 消化性が向上した. また, HP処理区において, 純水可溶性タンパク質の変性がみられた. 呈味成分である遊離アミノ酸は, 予備浸漬温度, HP処理に伴って増加していた. 以上のことから, 超高圧処理は米加工に利用でき, 新たな食味改善技術の一つとしての可能性が期待できると考えられる.